大阪から車で明石海峡大橋を渡って約1時間。瀬戸内海に浮かぶ島、兵庫県淡路島。玉ねぎや淡路牛が有名ですが、他にもおいしい海や山の幸が盛りだくさんの島です。2022年4月、ここに全く新しいグランピング施設「UMU(ウム)淡路島 RESPECT YOU(リスペクトユーエーユー), au」がオープンしました。ここでは、地域が抱える問題を解決する取り組みも行われていました。そんなUMU淡路島の魅力をレポートします!

淡路島に「泊まれるオリーブ園」が誕生 !

入り口で遊びにきていたお客さんを記念撮影

UMU淡路島があるのは淡路島北部の楠本。神戸方面から淡路島に渡って1つ目の「淡路IC」を出て約15分。見えてきたのはオリーブ園「Virgin Valley(バージンバレー)」。UMU淡路島はこのオリーブ園に併設されているグランピング施設なんです。

運営は2019年に「アウトドアライフで地域共創を」を合言葉に設立されたグランピングとアウトドア事業をプロデュースする「株式会社ABCグランプ&アウトドアーズ」。

名前の「UMU(ウム)」は古事記の冒頭を飾る「国生み神話」に由来します。イザナギとイザナミの2人の神様が日本列島を生んだ際に、最初に生まれたのが淡路島。そんな日本発祥の地から「新しいグランピング文化が生まれてほしい」という願いをこめて「UMU(生む)」と名付けられました。

まず目についたのは、全面鏡の大きなトレーラー。この施設の大きな特徴が日本初の拡張型ミラートレーラーボックスに宿泊できること。外側をミラーフィルムで覆うことで土地の景色を美しく映し出し、自然の中に見事に溶け込めるつくりになっています。

このミラートレーラーは「ABCグランプ&アウトドアーズ」と総合レンタル業の「西尾レントオール(株)」が共同開発したもの。日本ではここだけの特注品なんです! 入ってみると中はとても広く、ダブルベッド2つに、大きなソファーまでもがゆったりと収まっていました。

前面は全て窓!大阪湾の絶景が眼前に広がります。窓はマジックミラーなので、日中は外から部屋の様子が見えにくく、プライベート空間もしっかり確保できますよ。

他にも、プロジェクターやスクリーンが備え付けてあるので、好きな時に大画面でNetflixなども観ることができるんです。
そして何といってもグランピングの楽しみといえば、やっぱり「食事」!

UMU淡路島は1泊2食付きで、夜はイタリアンとフレンチ出身のシェフがアウトドア向けに考案したメニューが提供されます。

料理は調理しやすいように下ごしらえされ、手順書まで付いてくるバーベキュー形式。

カセットガスの老舗メーカー「イワタニ」のアウトドアブランド「FORE WINDS」の調理器具が用意されていて、誰でも簡単に焼くことができ、自分たちのペースでゆっくり楽しみながら味わえるんです。

この日はご覧の豪華メニュー。

どの料理もアウトドア料理と思えないほど完成度が高く、特に具だくさんのミネストローネは一緒についてくるソーセージと煮込むと、お肉の出汁が出てとってもジューシーに。お肉だけじゃなく魚まで幅広いメニューが揃っているのは淡路島ならではの魅力です。

(左上)鶏のガランティーヌと淡路玉ねぎのプッタネスカソース添え、(左下)生ソーセージ、(右上)魚介のパエリアの淡路島岩海苔添え、(右下)ビーフステーキのタリアータ
エキストラバージンオリーブオイルは、Virgin Valleyで採れたオリーブを使用

楽しい食事が終わる頃には、辺りはすっかり真っ暗に。

すると共用BBQスペースにある「スタータープ」やインテリアに明りが灯されました。スタッフに宿泊者専用の焚き火台に火をつけてもらうと、ゴージャス感が加速!

さらに、屋外にあるソファーの前には暗くなると青く光る石の絨毯が現れ、昼とはまた違った幻想的な雰囲気を味わうことができます。

この空間で聴く虫の鳴き声は心地よく、いつの間にか寝入ってしまっていました。

共有スペースには「ひかる石」という畜光石(光をためておける石)が集められ、真っ暗になると青色に浮かび上がります

2日目の朝。朝食前の涼しい時間に隣のオリーブ園へお散歩に。ここは(株)ハーベストファームが運営するオリーブ園「Virgin Valley(バージンバレー)」。

標高約200mの丘陵にオリーブの木々が立ち並び、まるで「イタリアのトスカーナ地方」の様だとSNSなどで話題になるほど素敵な所です。

淡路島は年間を通じて降水量が少なく、年平均気温も14〜16℃。実は、温暖な土地を好むオリーブの栽培には適した場所なんです。耕作放棄地を地権者の方から譲り受け、オリーブの苗を植えたのが2017年。現在では約2100本にまで増えました。

手掴みの収穫にこだわるため、オリーブの高さは2~3mに抑えて育てている

そんなオリーブの木陰は涼しく、ほのかにオリーブの匂いを感じながら気持ちいいお散歩が出来ました。

宿に戻ると爽やかな朝食が準備されていました! メニューはゆで卵とチーズがたっぷり詰まったバゲットサンド。ドリンクはメニューの中から好きなものを選べるので、私はフルーツを使用したコールドプレスジュースをチョイス。

隠れた地方の力を呼び覚ますきっかけに

(左)プロデューサーの吉村司さん、(右)CEOの楠本由希子さん

今回施設を案内してくださったのは、「ABC Glamp&Outdoors」の吉村司さんと楠本由希子さん。施設を企画&プロデュースした吉村さんに、施設に込めた思いを伺いました。

ーーUMU淡路島の魅力は何でしょうか?
吉村さん:ブルーベリー等、季節によっての収穫体験ができたり、隣の養鶏場から卵を貰ったりと、淡路島ならではのグルメを楽しめるところです。他にも、トレーラーハウスでグランピングを楽しみながら、気軽に島を観光できるのもメリットですね。UMU淡路島を拠点にして「明日は東浦の海で遊ぼう」や「近くの産直市場に行こう」など、島のいたるところに飛び出していってほしいです。

宿泊者は農園で、多品種ブルーベリー摘み取りが楽しめます

ーー今後、UMU淡路島を通して実現したいことはありますか?
吉村さん:日本には素晴らしい自然のロケーションがありながら、建物が建てられない、水道・トイレなどが未整備で快適に宿泊することができないといった場所がたくさんあります。そういった土地をアウトドア施設にすることで、隠れた地方の力を呼び覚ますきっかけにできれば嬉しいです。

地域の誰もが活躍できる農園を目指して

横幅約2mの大きなドローンを使って宿泊者にお土産を配達。木々や山を越えて直線的に動けるドローンの特徴を生かし、配達時間を一気に短くする実験活用が始まりました。山が多い淡路島は道路の少ない過疎化エリアも多いため、今後人手不足を補うことができるドローンの活躍に期待が高まっています。

Virgin Valleyを運営するハーベストファームの松嶋さんは「オリーブエリアの隣接地では、地元の農家さんがトウモロコシやサツマイモなどの季節の野菜を栽培することで、お互いに協力しながら土地全体を活かせるような取り組みを行っています。これからも農園を通して、地域の誰もが活躍できる農園をつくっていきたいですね。」と話してくれました。
ここで収穫したオリーブは淡路島産エキストラバージンオリーブオイルの新ブランド「virginvalley」として宿で販売されていて、今後収穫したオリーブも淡路市のふるさと納税の返礼品として出されるんだとか。

さらにオリーブ以外でも、農園で育てているブラックベリーやブルーベリーは、淡路島で人気のパン屋さん「ブーランジェリーフルール」(淡路市)で美味しそうなパンに変身していました!

外部からの視点は、地域を支えるチカラとなる

筆者自身、淡路島で生まれ育ったのですが、農家の高齢化や後継者不足によって耕作放棄地の増加が問題になっていると、近年よく耳にしていました。今回初めてUMU淡路島で宿泊体験をしてみると「ここは本当に淡路島なのだろうか?」と思うほど素晴らしいロケーションで、土地の新たな活用方法に驚きました。
UMU淡路島のスタッフも「長年この島に住んでいると、この環境は普通でした。でも、外の人から見るとは、淡路島はまるで宝石箱のような場所だったんですね。」と話していたのが印象的でした。外部の人が資産だと感じるモノを、日々そこに暮らす人は気づかないというのはよくあることです。そのため、地域創生では地元の人が気づかなかった特徴を外部の人と共に発見することが大切なことだと思いました。UMU淡路島をきっかけに、淡路島の可能性はまだまだ広がるかもしれません。

お問い合わせ先

株式会社  ABC Glamp&Outdoors

代表:楠本
TEL:080-9935-7298
E-mail: yukiko_kusumoto@asahi.co.jp
所在地:〒553-8503 大阪市福島区福島1-1-30
URL :https://abcgo.co.jp/